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モダンリビング編集長 下田結花さんvol.1 「絵画の歓び」

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年2月22日

「一角獣を抱く貴婦人」ラファエロ作.jpg
ラファエロ・サンツィオの「一角獣を抱く貴婦人」
              
絵画は多くの物語を秘めている。
            
ラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」もまさに、そうした1枚だ。
             
今、上野の東京都美術館で開催中の「ボルゲーゼ美術館展」
             
を見に行った。
             
東京都美術館は、上野公園の奥まったところにあり
             
出かけて行くにはちょっと気力がいる。
             
それでも「ボルゲーゼ美術館展」は
             
行くだけの価値があった。
             
会場を入ってすぐのところに、美術館の建物の大きな
               
写真が掛かっていて、その成り立ちが語られている。
                 
ローマ教皇パウルス5世の甥、シピオーネ・ボルゲーゼ
                 
枢機卿がヴァチカンの権威を背景に収集したコレクション
                
といってもよい。ルネサンス・バロック絵画の傑作が多い。
            
ラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」は、18世紀から
              
19世紀にかけて加筆され、全く違った絵「聖カタリナ」
                 
として存在していたという。
                     
そのモノクロ写真も展示されているが、肩は覆われ、
                 
背景は隠され、一角獣は聖女にまつわる車輪に
             
取り替えられていた。
                   
修復によって姿を取り戻したのは、1930年代に
             
なってからだ。
                  
ラファエロらしい端正な面差しもさることながら、
                 
衣装とジュエリーの印象も強い。
               
「ファッションから名画を読む」(深井晃子・著/PHP新書)
                   
によると、この時代、服は袖と身頃を紐で留め付け、
              
その間から高価な白いリネンの下着を覗かせていた。
               
この絵にも、その特徴がよく表れている。
               
この絵を眺めていて、ふと浮かんだ小説があった。
                    
塩野七生さんの書いた「メディチ家殺人事件」(朝日新聞社)
                     
だ。その中に出てきた女性がフィレンツェの宝石職人に
                    
オーダーして作らせた首飾り。以前、ローマで見た
                
ラファエロの絵の首飾りを再現してほしい…
                 
その描写は、まさにこの絵の首飾りそのものだった。
                 
37歳という若さで亡くなった早熟な天才
               
ラファエロ・サンティオは、高貴な人々からも愛された
              
眉目秀麗な青年だったと言う。
              
背景となる歴史、画家の人生、そしてさらにその絵が
              
経てきた時間と、1枚の絵から広がる物語は果てしない。
                 
絵そのものの美しさももちろんだが、その「物語」が
                
いつも私を引きつけてやまない。
                 
                 
東京都美術館.jpg
「ボルゲーゼ美術館展」が開催されている東京都美術館。
上野公園 の奥まったとところにあるレンガ造りの建物。
この展示終了後、改修に入り、休館する。

ボルゲーゼ美術館.jpg
ローマのスペイン広場の階段を上がると広大な
公園が広がる。そこ に佇む,ボルゲーゼ美術館。
17世紀始め,古代ローマの荘館 を手本に
コレクションを収蔵する目的で建てられた。

「メディチ家殺人事件」塩野七生著.jpg
塩野七生・著「メディチ家殺人事件」(朝日新聞社)は
歴史上の事実を元にした小説。トスカーナ大公コジモ一世
の青年期に起こった事件をモチーフに、当時のフィレンツェの
生活が、生き生きと描かれている。


ボルゲーゼ美術館展
場所 東京都美術館(上野)
http://www.borghese2010.jp/index.html 
会期  1月16日(土)〜4月4日(日)
時間 午前9時から午後5時まで
休館日 毎週月曜日
           
             
アシェット婦人画報社
「モダンリビング」編集長 下田結花さん

旧婦人画報社(1999年アシェット・フィリ
パッキ・ジャパンと合併、現アシェット
婦人画報社)に入社後、書籍編集部、
別冊編集部、女性誌の編集部を経て
2003年から「モダンリビング」の
編集長に就任。
モダンリビングのブログ「ML日記」にて掲載中。
下田編集長の「編集長日記」
http://mdnlvng.exblog.jp/

「モダンリビング」は1951年に創刊。
建築としての家づくりにとどまらず、
インテリアにも重点をおき、毎号
「幸せを実感できる暮らしと空間」
を提案するビジュアル建築誌です。
http://www.hfm.co.jp/product/modernliving


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