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モダンリビング編集長 下田結花さんvol.4 「フィンランドに見た豊かさ」

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年3月17日

IMG_0116.jpg
ヘルシンキにある「イッタラ」本社のショールーム。
周囲の壁は外壁だった部分。中庭にガラスの天井
がかかりショールームに。昼 間からテーブルには
キャンドルが。これも北欧では普通のこと。


 3月6日から11日まで、フィンランドに取材に行った。
          
上の写真は、その取材先の1つ、「イッタラ」のショー
       
ルームだ。「イッタラ」は以前、ガラスのみを扱っていたが
      
現在は陶磁器の「アラビア」などを統合し、キッチンウエア
        
からテーブルウエア全般までを扱う。北欧を代表する
        
ブランドのひとつである。
             
 このショールームは、「アラビア」の工場の中庭だった
          
部分にガラスの天井をかけたスペース。体育館1つ分
         
くらいの広さはある。
             
 私たちが着いたのは、朝の9時頃だったが、この一角
        
の大きな木のテーブルの端で、マーケティングチームの
          
4人の女性がミーティングをしていた。そのテーブルの上
          
には、サンドウィッチやクッキー、お茶、ジュースの入った
            
「イッタラ」の器が並んでいた。
            
 ぱっと見たら、どこかのティールームかと思うだろう。
         
だが「イッタラ」に限らず、北欧のオフィスや社員食堂では
           
これはあたりまえの光景だ。デンマークの会社や工場でも
              
何度も目にしている。美しい器や空間、セッティングは
            
特別なことではない。住宅と同じように、オフィスでも
            
過ごしている。
            
 こうした景色を目にするだびに、「暮らし」とはなんだろう
          
と思う。テーブルという、ささやかなスペースから始まる
             
幸せがある。そのことを北欧の人々はよく知っているの
             
ではないだろうか。
           
 ショールームには、有名なフィンランドの建築家
        
アルヴァ・アアルトがデザインしたベース(花器)「サヴォイ」
            
もあった。アアルトのベースは現在ではスティールの型を
              
使っているが、初期には木の型で作られていたという。
          
その意味は、翌日、イッタラ村の工場を見学して
        
初めて理解できた。
         
 「イッタラ」のガラス製品は、鉛を含むクリスタルではない。
           
環境を配慮し、無鉛ガラスでありながら、高い透明感を
               
出している。製品は熟練した職人による完全なハンドメイド
          
のものと、機械と手作業の両方からなる作り方に分かれる。
             
私たちが訪れたイッタラ村の工場は後者だった。
         
 工場に入ると、真っ先にアアルト・ベースの作業が見えた。
          
炉から取った熱ガラスの固まりを回しながら吹いて玉にし
            
スティールの型(波形)に押し込む。ある程度冷えたところで
             
型から取り出して棒から外し、除冷室でさらに3時間冷まし
           
上部をカットして磨く。
       
こうしてアアルト・ベースが出来上がる。6人くらいの
         
チームで1分半に1個くらいのスピードでできていくが
        
2割は不良品としてその場で廃棄、ファイバー工場へ
            
送られ、再生されるという。

 アアルトがこのベースをデザインしたのは1937年。
           
さまざまなヴァリエーションを持ちながら、70年以上
             
愛されてきた。
         
 この物作りの伝統と、それを使い続けるていねいな生活。
            
そこに、今、私たちが求めている「豊かな暮らし」が
           
あるような気がしている。
         
IMG_0146.jpg
ショールームの一角では,ミーティングが行われ
ていた。テーブル にはイッタラの器が。この横に
は立派なキッチンもある。

        
IMG_0123.jpg
ショールームにセッティングされた
アアルト・ベース。この ウォーター
グリーンは今年の新色。

        
IMG_0121.jpg
かつては、この木の型に吹きガラスを
流し込んで、成形されてい た。型も長
くは持たず、出来上がったベースも表
面がつるっとしてはいなかった。

          
IMG_0242.jpg
イッタラ村の工場で。白のアアルト・ベースを制作し
ているとこ ろ。色ガラスはクリア・色・クリアとガラス
を3層重ねて作る。

           
IMG_0264.jpg
上部の膨らんだ部分をカットする前のアアルト・ベース。
上の穴の 部分は、ガラスを吹くための棒が付いていた
ところ。出来上がったベースは、ひとつひとつ、微妙に
形も厚さも違う。

                
               
モダンリビングのブログ「ML日誌」に掲載中。
下田編集長の「編集長日記」
http://mdnlvng.exblog.jp/

モダンリビング 
http://www.hfm.co.jp/product/modernliving


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