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ニシザキ工芸株式会社 西崎克治社長 vol.2 日本の伝統を守るパトロンになる

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年5月10日

ニシザキ工芸inuenomi.jpg
          
どんなにモダンでシンプルな住宅も、職人の腕
と感性があってこそ五感に訴える仕事になる。
いい職人の手掛けた家には物づくりへの思いが
込められていると信じています。そして職人達に
とって、自己の思いを表現する大切な道具となる
のが、カンナやノミなどの「道具」です。

第二回は「井上刃物店」の店主 井上さん。

久しぶりに墨田区の「井上刃物店」に足を運びま
した。ここは明治から続く一流の道具店です。店
主の井上さんは、店先でもくもくとカンナの刃を研
いでいました。今はプロの大工でもホームセンタ
ーで道具を調達する時代。毎日カンナの刃を研ぐ
職人は少なくなりました。
           
ニシザキ工芸inouegaikan.jpg
画像/首都高の走る大都会の中で
古い店構えを守る「井上刃物店」。

       
井上刃物店の周りには、寺社や数寄屋建築を手
掛ける名人級の職人がまだまだ残っています。こ
うした職人達にとって、道具はまさに「生きる糧」
なのです。道具の値段は、大工1日の日当が相
場ともいわれます。一流の大工は何枚もの刃物
を買い揃え、その中からお気に入りの一枚を見つ
けていきます。素早く、きれいに、すっきりと切れ
る刃物は仕事の良し悪しとスピードを決めます。
井上さんは道具を見るだけで大工の腕前が分か
るそうです。
        
ニシザキ工芸inouekanna.jpg
画像/カンナの刃を購入した際は、はじめ木を荒く削る
ために使い(荒シコ)、次に中くらいの荒さ(中シコ)、最
後に仕上げと使い込んでいきます。大工は使いやすい
刃だけを残し、仕上げに使うのです(右から荒シコ・中シ
コ・仕上げ用)。

                
大工道具には名工と呼ばれる巨匠の作もあり、
今は美術品として扱われています。しかし井上
さんは「刃物は値段ではない。使ってみないと
その良さは分からない」と言います。井上刃物
店は伝説的な鍛冶職人との付き合いもあり、そ
の作も沢山持っていますが、ほとんど売ったこと
はないそうです。その訳は「道具は職人に使わ
れて初めて道具といえるから」。
          
ニシザキ工芸inouehamonotogi.jpg
画像/「刃物は自分で研いでみないと分からない」
毎日のように刃物を研ぐ井上さん。若い人達に道具
の使い方を教える教室も開いています。

              
         
こうした超一流の鍛冶職人を知るからこそ、
井上さんは「使える」刃物を尊重するのだと
感じました。鍛冶職人達に使い手の希望を
伝え、一緒になって道具を進化させて来た
のも井上さんをはじめとする道具店です。
道具を通して、共に家づくりに参加してきた
人達なのです。
               
例えば、一見モダンなドアも和風建具の技術
が生かされています。厳選された素材を使い
腕のよい職人によって作られた、自然な木目
を活かしたきりっとした仕上がりは、いい刃物
から生まれます。それは美しいだけでなく、木
の導管が潰れないため腐りにくく長持ちするの
です。

伝統技術に関わる職人を公的に保護すること
も大切です。しかし実際の社会に役立つ仕事
をしてこそ、職人の技は後世に伝えられていく
のだと思います。家づくりの中に職人の技を取
り入れることで、伝統技術のパトロンとなること
ができるのです。こうしたことも家づくりの喜び
といえるのではないでしょうか。
          

ニシザキ工芸inouetennai.jpg
画像/店内には様々な道具が並んでいます。中には
何年に一回しか使わないような稀少な道具も。腕のた
つ大工は、こうした珍しい道具をいつでも使えるように
準備しておくそうです。

              
ニシザキ工芸
http://www.nishizaki.co.jp/      
              


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