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ポーゲンポールジャパン株式会社 川島 東治社長 vol.3 言語としてのポーゲンポール

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年6月14日

+INTEGRATION.jpg
+INTEGRATION(インテグレ
イションシリーズ)
キッチンや食器棚を壁に埋め込み
家屋との一体感・融合感を高め
ダイニングをより一層リビングへ
近づけた

             
小学2年生のあるとき、先生からの「やまびこはなぜ
起こるか」というクラスへの問いに、手を挙げた私が
自信満面に「ヤマビコという妖怪が人の真似をする
から」と答え、クラス全員から大笑いされたという悲し
い思い出があります。
             
そのほか多数の思い込みによる失敗から、数年前
他界した父親に「視野の狭い見方はするな」と常日
頃言われるようになり、それ以来この言葉が呪縛の
ように頭にこびりついています。私がこれまで様々な
仕事に携わる人生を送ってきたのも、ひょっとしてそ
のせいではないかと思うほどです。

やまびこ.jpg
佐脇嵩之『百怪図巻』より山びこ

子供ながらに考えたのは、ならばいろいろなことを経
験すればいい、ということでした。さらに尊敬していた
中学3年次の担任の先生が「一芸に秀でよ」と自筆さ
れた英和辞典を卒業時にくださり、英語が得意教科
であった私は英語もしくは外国語で身を立てることを
決心します。そのころ読んだ小田実の著書『なんでも
見てやろう』という本で海外で仕事をする自分を強烈
に意識することになります。
         
高校生になり、友人5人でそれぞれが別々の外国語
を覚えようという話が持ち上がりました。その当時NHK
のラジオ講座で英語のほか、フランス語、中国語、ス
ペイン語、イタリア語、ロシア語などあり、誰が一番長
く続けられるかという競争をしたのです。
             
私はスペイン語を選び、脱落していく友人を尻目に結
局1年続けました。スペイン語はいわゆるローマ字的
な発音で読みやすく、巻き舌の発音を覚えるとそれが
得意となって、面白く続けることができたのです。英
語と文法が全く違うのでその面白さもありました。
           
大学に入り第2外国語でスペイン語をと思っていたの
ですが、選択教科にはありませんでした。しかたなく
同じラテン系言語としてフランス語を選択したのです
が、スペイン語の基礎があったので当初はすらすらと
頭に入ってきたことを覚えています。
             
当時、その数年後社会人になってすぐパリで仕事を
することになるとは全く思いもよらなかったのです。
ましてや結婚し、3人の子供が現地で生まれ、フラン
スが第二の故郷ほどにもなるとは微塵にも想像して
いませんでした。そして人生の半分を費やして身に
ついたことが、後半に生かされていくことになります。
英語や他の外国語を学ぶことは、その文化や歴史を
学ぶことです。そのことが日本の理解をさらに深める
ことにもなります。
           
哲学にときどき引用されることに、「数人が同じものを
見ていたとしても、それは同じものではない」という命
題があります。これはいろいろな段階で議論があるの
ですが、言葉に関していえば、同じ「りんご」であって
も英語ではapple、フランス語ではpommeなどと、まず
呼び方が違います。また同じ言葉を使っていたとして
も、その人によってはイメージや意味合いが違う場合
もあります。
           
余談ですが、たまたま例として挙げたappleは、パイナ
ップルが「松(pine)ぼっくり」のような形のappleだから
そう命名されたとか、フランス語の芋はpomme de ter
reといって「土中のりんご」という意味だと知ると、感心
すると同時に外国人のものの見方、考え方などが見え
てきます。
          
上述した父親が言った意味は違うのですが、私には
それだけで視野が広がったような気がして、大げさで
すが救われたような気さえしたのです。しかし確かに
そのような勉強に没頭すると関連してさまざまなこと
を覚えるようになり、ひとつのことを多角的、多義的に
考える訓練となっていたことは事実でしょう。
              
言葉を人に置き換えても同じことです。その人にはそ
れまでの生い立ち、環境、考え方、つまり文化があり
それを理解し共感することがコミュニケーションの重要
な要素となります。単純な意思疎通ではそこまで踏み
込む必要はないのかもしれませんが、コミュニケーショ
ン・スキルという段階になると、お互いの文化をいかに
双方が理解しあえるかという領域に向かっていきます。
               
目指すべき満足度の高いコミュニケーションとは、単な
る言葉のキャッチボールではなく、双方のやり取りにお
いて僅かずつでも「高み」もしくは「深み」に導いていく
ことと私は思います。

       ***
         

「一芸に秀でる」ことと「視野を広くする」ことは、一見
対極的に思えます。しかし私はこう考えます。木の成
長は幹がどんどん太くなり、高く伸びていくことです。
必然として枝葉も増え、やがて大きな樹木となります。
基本となる幹が当初は偏狭な一芸だったとしても、続
けること、さらに没頭することで全体として広い視野が
形成されるのです。
            
言葉への執着が現在の私を形成していると言ってい
いでしょう。しかしポーゲンポールという会社に勤める
ことになったのは、英語を話すからとか、ヨーロッパ文
化を多少なりとも知っているからということではありま
せん。

ポーゲンポールのキッチンが私にとっての「言語」と考
えたからです。つまり、キッチンはキッチンのみにとど
まらず、人が成長するに欠かせない付加価値を多く有
していることに気づかされたということです。これが私
の集大成となるかどうかは神のみぞ知るですが、多角
的・多義的に物事を捉え真理・真実を探究する世界が
ポーゲンポールの一貫したコンセプトの中にあると私は
信じました。
                
ポーゲンポールを知ることがその人にとって少しでも新
しい「高み」、「深み」になることを心から願っています。
(了)

フレデミール・ポーゲンポール.jpg
創業者 フレデミール・ポーゲンポール


ポーゲンポール(poggenpohl)サイト



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