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「エクウス」編集長 原口 啓一さん Vol.01 ヨーロッパ文化の精華としての乗馬

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年12月01日

はじめまして。
このたびご縁をいただいてこのアーネストコラムに拙文を掲載させていただくことになりました乗馬マガジン「エクウス」の原口と申します。
せっかくいただいた機会ですから、ここでは「乗馬」という趣味を持つことからはじまる心地よいライフスタイルについて、世界の乗馬事情などを交えながらご紹介させていただきたいと思います。


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EQUUS 2009年10月号

 さて皆さん、「乗馬」と聞いていったい何を思い浮かべられるでしょうか?
「馬に乗ることだろ」ということは誰でもが承知していますが、では「馬に乗る」として、その先何をするのかということになると、その世界をきちんと把握されている方は意外と少ないのではないでしょうか。
 あれほど世界中が沸き立つオリンピックにおいても、馬術競技となると我が国ではほとんど実況中継されることもありません。年間で乗馬を体験される方の数は100万人ともいわれていますが、趣味として乗馬を繰り返し楽しんでいるのは10万人前後のようです。現状ではまだまだマイナースポーツの域にあるといわざるを得ないのが日本の乗馬環境です。


 しかしながら、ヨーロッパへと目を転じてみると乗馬の環境は一変します。
シーズンともなるとその多くの国で毎週のようにさまざまな規模の馬術競技会が開催され、ホースショーと呼ばれる大きな大会になると、時計の“ロレックス”などの世界の一流企業がスポンサードし、その模様はヨーロッパ中にテレビ配信されています。
そして観覧席に設けられたVIPエリアには糊のきいた白いテーブルクロスに縁取られたディナーテーブルが用意され、シャンパンや豪華な食事を楽しみながら観戦しているVIPも多く見受けられるのもヨーロッパならではの競技会風景でしょう。

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EQUUS 2009年10月号「シャンティイ」より


 またかつて馬が、その国の国力を象徴するものであった時代の名残でしょうか、多くの国には国立の乗馬学校があり、より強い馬を生み出すための国立の研究機関、あるいは国が支援する機関が設立されています。強く逞しい馬と巧みな馬の操り手を持つことは、現在においてもその国の人々にとって大きな誇りとなっているのです。ですから、王室のある国ではロイヤルファミリーと呼ばれる人々は例外なく皆巧みに馬を操りますし、中には国を代表してオリンピックの馬術競技に出場するほどの人もいます。何が言いたいのかと申しますと、少々大袈裟な云い方になりますが「馬」に関すること、とりわけ優秀な騎馬文化のノウハウを持っているかどうかということにはそれぞれの国の威信がかかっているのです。ですからヨーロッパの人々は強い馬、巧みな乗り手には、相当な敬意を払っています。馬具工房からスタートしたエルメスをはじめ、皮革業として起業し、その一環で馬具や馬車用のトランクなどを手掛けていたヨーロッパの一流老舗ブランドが、誇りを持ってそのルーツが馬具関連の事業であるあることを今日まで大切に受け継ぎ、あるいは現在でも馬術選手や競技会のスポンサーとしてサポートしているのは、ヨーロッパの人々の馬文化へのリスペクトを考えると当然のブランド戦略ともいえるでしょう。

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EQUUS 2009年10月号「スコットランド」より

 まあ、日本とヨーロッパの乗馬事情の比較はこのくらいにして、話を現在の日本の乗馬環境へと戻します。日本で乗馬を楽しんでいる方の7割強は女性です。その背景の一つには、格式を持って育まれてきたヨーロッパの由緒ある乗馬文化への憧れが多少なりとも後押ししていると思います。そうなんです。つまり乗馬という趣味にはヨーロッパのエレガンスに通じる、ノーブルで芳しい香りが色濃く漂っているのです。


 馬は「大きく」「強く」「逞しく」「繊細」で「優しい」動物です。人との距離感の取り方は、犬や猫などのペットとはまったく別物です。そして何より優れているのは、人と心で対話のできる動物だということです。人がイライラしたまま馬に近づくと馬は警戒しますし、どんな状況でも人が落ち着いて対処していれば馬も安心してその人に心を委ねます。つまり人の心のあり方次第で、馬の反応は大きく変わるということです。周囲に対して思いやりと寛容と謙虚の心、すなわちノーブルな心を持って接すると、彼らはパートナーとして最高の力を発揮してくれるのです。このようなコミュニケーションができる動物は、馬をおいて他には考えられないのではないでしょうか。乗馬は子供から大人まで何歳からでも始められますし、競技においても、年齢や性別による区別はまったくありません。その大きな理由の一つが体力や技術ではなく心と心の交流によって生まれるパートナーシップに乗馬の醍醐味があるからでしょう。このコミュニケーションの円滑さを促進させるのが日頃の練習を通して磨きをかける技術ということになるのです。
 さて弊誌「エクウス」では毎号、旅という形で世界中のさまざまな乗馬文化を紹介しています。その目的は、なんといっても一人でも多くの乗馬愛好家を増やすことです。旅好きの方はたくさんいらっしゃると思いますが、行き慣れた旅も、そこに「+乗馬」というテーマが入るとまったく別の風景と楽しみが広がりはじめます。ヨーロッパだけではなく世界中のほとんどの国で乗馬は楽しめますし、地域ごとに馬と人の接し方も密度も変わります。その違いを楽しみながら馬に触れる旅は、旅の楽しみを何倍にも拡げてくれるはずです。そしてそれは日々の暮らしの中でもいえること。乗馬という趣味を一つ持つだけで、いつものウィークエンドが大きく変わります。健康的でエコロジカルで、四季の変化や人との触れあいにまでこまやかな心配りが生まれる週末。郊外へ馬に乗りに行く、それだけのことで日々の暮らしの中で大切にしたいものへの意識も変わってきます。

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EQUUS 2009年8月号「ハワイ特集」より


 乗馬を通して新たな快適&上質ライフを提案する、それが「エクウス」の役割と考えておりますが、乗馬に興味を持っていただいたとしても、実際に馬に触れ乗ってみないと、その本当の魅力は伝わりません。ですから「エクウス」では、現在約60の全国の優良乗馬クラブと提携し、乗馬誌「エクウス」を定期購読いただいている方で実際に乗馬を希望される方をプレミアム・ライディング・クラブ「エクウス」の会員に登録させていただいております。会員登録されますと、加盟クラブの中から個々の会員にふさわしいクラブのご紹介や実際の騎乗予約をはじめ乗馬に関するさまざまなお問い合わせに対応する乗馬コンシェルジュ・サービスを提供いたしております。


 まずは乗馬に興味を持っていただくこと。そして実際に馬の乗ってみたいと思っていただくこと。そのためにここでは、これまで「エクウス」が取材した世界の乗馬事情の中から特に素晴らしい乗馬ライフを送っているエリアを厳選し、それぞれどのようなライフスタイルの中で乗馬を楽しんでいるのか、その多彩な楽しみ方をご紹介していきたいと思います。それらの中から、実際にご自分が乗馬を楽しんでいるイメージを投影できるシーンが見いだせたら幸いです。なぜって、そこまで具体的なイメージが描き出せたら、もう馬に乗ってみるしかありませんから。



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