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「エクウス」編集長 原口 啓一さん vol2 華麗なるイギリス流乗馬ライフ

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年12月18日

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 第2回目は、英国乗馬にスポットを当ててみましょう。イギリスでは、伝統ある『HORSE&HOUND』にはじまり、本誌で提携している、イギリス国内売り上げNO.1の『HORSE&RIDER』など数十種類にわたる乗馬雑誌が発行されています。それだけでも、イギリスでいかに乗馬に関する関心が高いのかが窺えます。イギリス国内の乗馬人口は300万人といわれ、日本では7万人ほどといわれていますので、その数は約43倍にもなります。乗馬雑誌をのぞいてみると、自馬をもっていることが前提として展開される記事で誌面は構成されています。日常の乗馬で遭遇するさまざまな事例を想定した、いわゆるかゆいところに手が届く、記事や、競技者向けの騎乗テクニック、馬の病気に関わる対処法まで実にさまざまなのです。たとえば、森林での外乗の際、水溜りに遭遇したときにどうするのか……? といった細部にわたるシチュエーションを想定した記事などは日本人からすると新鮮な印象もあります。


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【ニューマーケットのせり場にある厩舎。約700頭入る。】


 さて、かのサラブレッドを生み出したのは、英国王室のヘンリー8世です。競馬会の聖地ともされるニューマーケットもイギリスにあり、そこには世界トップクラスの厩舎が軒を連ね、中東の王室経営の厩舎もあります。厩舎をもつことも、ある程度の資金を有する調教師にしか成せません。また、世界中の王室や富裕層を相手に仕事をする調教師のアシスタントもそれなりのマナーを身につけ、幼いころから馬に親しんでいる名家のご子息が多いと言われます。馬に関わる世界は、上流社会が深く関わっているのもイギリスならではの文化といえるでしょう。また、通常のビジネスに飽きてしまった人が、サラブレッドビジネスに魅了される話をよく耳にします。それも、よい血統の馬の子供が名馬になるとも限りません。そのスリルややりがい、いい馬を生み出す喜びや楽しみがあるのも魅力のようです。ヴィクトリア女王も大の乗馬好きとして知られますが、馬産を手がけるなど、その喜びを知ったうちの一人といえるでしょう。王室が深く関わる馬の世界ですが、第3回ヴーヴクリコ・ポロ・クラシックでもヘンリー王子が選手として活躍して話題になるなど、国内外の大会で王室の面々が積極的に参加することも珍しくありません。英国貴族のたしなみとして、もっとも優位にあるのがハンティング、その次がポロと言われます。そして、次が乗馬という位置づけになるわけですが、前回のご挨拶で申し上げたとおり、国力を反映する「馬」の存在は英国王室にとっては必要な存在と言わざるを得ませんでした。よって、いい馬を王室が保持するのは当然のこと、その結果として貴族は日常の中で馬を操っていたのです。乗馬というとノーブルな気品が漂うのは、貴族と切っても切れない関係にあるからともいえるでしょう。余談になりますが、ヒースロー空港近郊に位置するドーチェスターグループ系列のラグジュアリーホテルでは、真っ先にアクティビティ用にポロ専用の競技場を敷地内に設計したといわれます。世界中のVIPを魅了するホテル経営を展開する同グループが、威信をかけるホテルだけに、その競技場にも力を入れているのかもしれません。
 


 さて、カントリーサイドにも目を転じてみましょう。国の保護指定を受けた美しい町並みが国際的にも有名なコッツウォルズという田舎町は、イギリスの富裕層の間でも憧れとされる地です。15世紀あたりに建設された、重厚な石造りの建物を購入し、ロンドンのシティとあわせてコッツウォルズにも居を構える生活は理想のライフスタイルとされています。『EQUUS 8月号』のイギリス特集で取材したとある女性は、まさにその生活を満喫するマダムの一人。彼女は、アメリカのボストン出身ですが、小さいころから乗馬を嗜み、結婚を機にイギリスへ。乗馬の本場に移ったことで、コッツウォルズを選択したといいます。


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【ウィークデイはロンドン、ウィークエンドはコッツウォルズと、Town&Countryを地でいくスーザン・シンガーさん。】


近郊の町では、馬術大会が頻繁に開かれ、馬術の国家代表選手でもあるオリンピックメダリストを指導者として乗馬の腕を磨くことも夢ではない環境です。現在も、週の半分をロンドン、半分をコッツォルズで生活しながら愛馬との乗馬ライフを楽しんでいます。


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【スーザンさんの持ち馬。この馬は2012年のロンドンオリンピックに出場するかもしれないという。】


 シティ、ロンドンの中心地でも馬は身近な存在です。ミューズと呼ばれる、アヴェニューやストリートと並ぶ通りは、その昔、厩があった場所。車が普及する前の移動手段は馬が主流ですので、馬を留めておく厩が必要となりました。目抜き通りから一歩奥に入り、パティオのような敷地を囲むようにフラットが並ぶ、その場所がミューズです。物価の高いロンドンでも、このレトロな物件がアーティストを中心に注目を集めていると言われます。さて、車が普及し、ロンドン名物である「ブラックキャブ」が町の交通手段として使われるようになりましたが、このタクシーに王室からお触れが出されます。「車には馬用の藁を積むためのスペースを必ず確保しなければならない」というもの。よって、後部が広いあの形が誕生したとされます。馬を単なる交通手段としてだけ考えていなかった、王室の誇り高きエピソードといえるでしょう。


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【ハイドパークにある乗馬クラブ。子どもたちはポニーに乗っておおはしゃぎ。】

ALL Photos by NAOKI


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