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「エクウス」編集長 原口 啓一さん vol3 フランス流儀の乗馬ライフ

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2011年1月11日

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Photo by Ryusuke Hayashi
【エリートライダー、カドル・ノワールの名演技。フランス古典馬術のお手本とも言える、華麗な演技は必見。】

 第3回はフランス流儀の乗馬ライフ。馬にゆかりのある街は、フランスにもたくさんあります。その中でも夏のドーヴィルは特に馬との関わりあいが深い街といえます。
 多くのセレブが集まってくるこの街は、ナポレオン3世の親類にあたるモルニィ公爵によって、社交を楽しむために開発されたといわれます。別荘や競馬場、カジノや高級ホテルなど、バカンスを満喫するに十分な施設が充実しているのも街の魅力のひとつ。フランスの別荘所有者の大半がこのドーヴィルに構えるほど、富裕層のパリジャンに愛されているのも「社交」というコンセプトで造られた街だからです。パリの社交界がそのまま移ってきたようなその趣きには、ココ・シャネルも注目し、この地に開いたブティックで成功の糸口を掴んだことも知られています。


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Photo by Manabu Matsunaga
【フランスでも人気の高い、リゾート地、ドーヴィルでは豪奢なカジノも賑わいを見せる。】


 夏のバカンスシーズンになれば、フランス国内で開催されるレースの中でも重要なレースがおこなわれる、ラ・トゥーク競馬場と、クレール・フォンテーヌ競馬場が華やいだ雰囲気に包まれます。

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Photo by Manabu Matsunaga
【ラ・トゥーク競馬場で開催されたエルメス杯のレース。】


 レースはもちろんのこと、ポロ大会など競技も盛んですが、クレール・フォンテーヌ競馬場は特に作りも華やかで、競馬場全体がテーマ・パークのようになっており、一家で楽しめるのが特徴。美食を楽しみたい方には、本格フレンチのレストランで舌鼓を打ち、テラス・カフェではほっと一息つきながらレースを観戦など、リゾート地ならではの競馬の楽しみ方がお勧めです。

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Photo by Manabu Matsunaga
【ポロ競技大会の一幕。ドーヴィルのポロ大会の歴史は約1世紀にわたる。毎年夏には世界最高レベルの試合がおこなわれ、決勝戦は社交の場としても機能している。】


 サラブレッドの競りも、世界中のセレブの熱い視線が注がれるイベントのひとつ。その美しさがノルマンディー地方随一といわれる、現ドーヴィル市所有のストラスブルジェール邸では400名あまりが招待されて開催されるレセプション・ランチが恒例となっており、競りの参加者たちの旧友、交友が深められ、いっそう華やいだ雰囲気に包まれます。

 もうひとつの馬にゆかりのある町としては、ソミュールが挙げられるでしょう。フランス古典馬術の伝統を誇る、国立馬術アカデミーを有する馬の町です。ユネスコの世界遺産に登録されるロワール河岸の小さな町ながら、誇り高きフランス乗馬の香りが漂っています。

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Photo by Ryusuke Hayashi
【ソミュールの町のシンボル、ソミュール城を臨む町の夕景。】


 馬術アカデミーの騎手たちはカドル・ノワール(黒の制服の意)と呼ばれ、フランスのみならず世界中の馬術家の憧れの存在。洗練された制服に身を包み、伝統の証人として世界各国で活躍するフランスが誇るエリートライダーでもあります。

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Photo by Ryusuke Hayashi
【カドル・ノワールの指導員。厳格な雰囲気かつ、馬に対する真摯な姿勢が彼らの特長ともいえる。】

 アカデミーは19世紀中ごろに軍備の強化に伴って設立されましたが、さすがフランス。ただ強いだけの軍隊ではなく、騎手にも馬にも見た目の美しさが要求されたといいます。セル フランセという馬の品種もここから誕生しました。また、カドル・ノワール独特のパフォーマンスに、机やいすなどを馬で超えるシーンがあります。それは練習の合間の余興から始まったとされますが、これも馬術を楽しもうという騎手たちの遊び心から生み出されました。彼らは、一流ライダーとしての技術と、誇り高き精神に裏打ちされた品格など、フランス流乗馬の理想型を体現した存在ともいえるでしょう。


 さて、パリでも乗馬は盛んです。バカンスに重きを置くフランスの人々にとっては、パリで日ごろは活動するも、週末はパリ市内から程近い郊外に居を構えてゆったりと過ごすライフ・スタイルが理想的とされます。パリ16区に自宅をもつ、とあるマダムはパリでご主人と会社を経営しつつ市内から車で2時間ほどの場所に別荘を構えており、馬にとってストレスのない場所ということもあって、この地に決めたといいます。交友関係の広いご夫婦ゆえ日ごろからパーティーに招かれることが多いのも事実。しかし、金曜の夜にはパリでのパーティーを終えてから車を走らせ、別荘へ向かうこともしばしばといいます。

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Photo by Manabu Matsunaga
【もとは、狩人の屋敷だったという別荘。】


特に愛娘と楽しむ乗馬は至福のひと時で、娘さんは全国規模の馬術大会にも参加し、好成績を残すほどの腕前ですが、それは結果的にそうなったということで、マダムともども、競技者として活躍することは考えていないとのことです。ただ、馬が好きで、楽しみたいから、純粋に楽しいから乗っている――。ストレスのない自然に囲まれた環境で、自由気ままな乗馬ライフを満喫しているといったところでしょうか。
洗練されたフランス流乗馬は、「自由と遊び心」がキーワードといえそうです。


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Photo by Manabu Matsunaga
【別荘の庭で、馬を調教中。パリと郊外に居を構えるフランスマダム、パオラ・アリゴニさんの愛娘は、週末の乗馬の時間を心待ちにしているとか。】


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