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アーネストコラム酒酒落落 長渕悦子さん Vol.4 「みんなで一つ」

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2012年3月26日

Vol.4 『みんなで一つ』




最終週はインドの南部ムンドゴッドにあるチベット難民キャンプでの花物語です。


三年ほど前から毎年様々な物資をキャンプに贈呈させて頂き、少しばかりの支援をさせて頂いています。その物資の中の、タオルやTシャツを身に纏った村の人達の、笑顔の写真に私たちも勇気付けられて来ました。
そしてやっとこの地を訪れることができました。


インドの真ん中あたりにムンバイと言うところがある。インドの首都はデリー。そのデリーより少し南下した場所にあるムンバイは、日本でいえば東京に対する大阪のようなインドの二大都市のひとつ。
そのムンバイから車で約一時間。山あり谷ありの農村を幾つも越えた場所にムンドゴッドはあり、その地域の一部がチベットの難民キャンプとして存在する。
この舗装のされてないガタゴト道、一時間の道中に見たインドは文明からタイムスリップしたかのように、人間本来の原始のエネルギーに満ち溢れた姿があった。
道路を闊歩する水牛たち、それを追う農夫、頭に大きな籠を乗せ裸足で歩くサリー姿の女性たち、牛車を巧みに扱う少年たち、その目に飛び込んでくるすべての光景はなんとも凄まじい力に満ち溢れていた。
(以下写真撮影:長渕悦子)


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広大な田畑を抜けたところにチベット、ムンドゴッドキャンプはある。
ルンタと呼ばれるチベット文化の象徴である、赤黄青緑白の5色の旗が風になびく。
ここからはインドが持つ独特なエネルギッシュな景色から、一変、優しい色となる。キャンプは第一から第九まであり約400世帯がここに暮らす。
キャンプ村には真っ赤なブーゲンビリアが咲き誇り、個々の家々には牛が繋がれている。とてものどかな農村だ。


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私たちの到着を今か今かと待ってくれていた光景は圧巻だった!
チベット文化にはカターと言ってチベットシルクの白い布を、歓迎などの祝福の際に相手に首から掛ける慣わしがある。
幼稚園児からお年寄りまで一体何人の人達が出迎えてくれたのだろう!
約100人近くの人達の敬愛を意味するカターでの歓迎はあまりにも衝撃的で、車から降りた私は脚が震えた。熱い思いの湧き上がる感情を抑え、出迎えてくれた人達の温かさをしっかりと胸に抱いて奥に進んだ。


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同行して下さったのは埼玉医科大学の医師、西蔵ツアン先生。チベットから9歳の時、一家でインドに亡命、13歳の時に日本に渡り以後、日本に帰化される。
長渕剛の歌「ガンジス」の元になった1992年のインド渡航もこのツアン先生に同行して頂いている。


チベットは1950年以降、中国から辛辣な弾圧を受けており、インドに基本的人権を求めて亡命した人が現在まで、このムンドゴッドを含めて15箇所、7万人がいる。
ここムンドゴッドのキャンプ村の歴史はすでに50年以上あり、学校、病院、僧院など、人の暮らしに欠かせないライフラインは確立されているのだそうだ。そう言う意味ではアフリカのような「難民キャンプ」という言葉の持つ飢饉に喘ぐ飢餓状態の生活ではない。自然と共存する人間本来の生身の生活が感じられる。


100本近い聖なるカターで出迎えて頂き、感無量のうちに歓迎のセレモニーを受ける。
チベット民族舞踊を見せてくれた園児の愛くるしい姿、歌声。
平均年齢16歳ぐらいの少年少女たちの群舞の清々しさ、そして遠く帰れぬチベットを思い、歌ってくれた少年の「故郷を思ふ唄」、どれもこれもが強烈に心に刺さる。
そして皆の、その純粋な顔。動き。声。瞳。


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私は東京より二個の花器とアレンジを挿す緑の吸水スポンジを用意して行った。インドの花で私がアレンジメントを作り、それをプレゼントする予定でいた。
しかし私がお花屋さんに行く前に、その話を聞いたチベットキャンプ村の婦人会長さんがたくさんのお花を届けてくださった。


ならば、これは私一人が作るのではなく、「キャンプの人たちで一緒に作れないか!皆で一緒に一つのお花をを作れないか!」
その綺麗で可憐なムンドゴッドに咲く花たちを見てそう思ったのだった。
先程の踊りを披露してくれた園児から、小中高の子供達と、引率の先生方約30人が幼稚園室に興味深く集まってくれ、皆で一つのアレンジメントのやり方を面白く、可笑しく聞いてくれた。
一本ずつ好きな花を持ってもらい、一人一人それを上手にハサミで切って挿し、綺麗に形作っていく。
もちろん、全員このようなことの経験は無く、一本ずつ緑の吸水フォームに挿す感触が奇異なのか快感なのか、園児たちは、「きゃ!きゃ!」とはしゃいでいた。


そして工夫の挙句、30分後みんなの結晶の二個のアレンジメントが完成!!
どこからともなく盛大な拍手が湧いた!
例えこの花の形が不揃いだとしても、これは国と世代を越えた何より強い絆の架け橋が完成したのだった。


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それからは高校生のお兄さんたちがドラムを叩いて見せてくれたり、女子と共にブレイクダンスを躍ってくれたり、出来たばかりのバスケットコートでナイスシュートを見せてくれたり、最後にキャンプの奥にあるチベット仏教の寺院をも案内してくれた。
男の子達全員が流暢な英語で、チベットの歴史やそれぞれに祀ってある仏陀の意味する事を一生懸命伝えてくれる。そして仏に向き合った時の所作など、とても10代後半とは思えない礼節のある真摯な態度に、私はとても深い衝撃を覚えた…
日本の同じくらいの子供達がどこまで日本の仏像の意味することを言えるだろう……いえ、このわたしも含めてだが。
改めて母国をこの上なく愛し、尊ぶこのチベットの子達の熱い思いに感銘を覚えないではいられなかった。


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写真上:届けた衣類やタオルをまとった村人たちと笑顔の記念撮影
写真下:長男(中央)を加えて出来たばかりのバスケットコートにて
     試合を行った


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寺院を案内してくれたチベットの子供達と


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私が里親になっているテンジンちゃん


今。チベットの人口は600万人と言われている。そのうち、諸外国に亡命をしている人が約10万人、そのうちの7万人がインドへの亡命である。
人権尊重を求めて子供だけをインドに亡命させる親も沢山いる。真冬のネパールを自分の脚だけで越え、ダラムサラまで亡命してくる子供達の勇気を称えたい。そんな子供達を集めたTCV(TIBETAN CHIDLEN´S VILLEGE) は、分校も含めて今や1万5千人になろうしている。
ここを私は是非今年訪ねたいと思っている。


「清貧」という言葉があるが、まさに清貧の持つ人間本来の生身の生活をびしびしと見せつけてもらった。復興にかけた戦後の日本の匂いだ。私の父母の青春時代と重なる。
生活に華燭は要らない。華燭をそぎ落とした時、人間本来の暮らしに必要なものが見えてくる。


それは何。
それは自然と共存する姿。
それは何。
それは一生懸命に生きようとする姿。


幸せの定義はそれぞれにある。
その考え方も様々だ。
しかし、「無い物に苦しまず、有るものに満足し感謝する」彼らの生き方は畏敬の念の何物でもない。


帰り際、婦人会長さんが
「このキャンプの地に皆で花を植えてみようとオモイマス。花は皆を笑顔にシマシタ」
この言葉は嬉しかった。




今年、3月10日(土)
渋谷にてチベットの平和を願うピースマーチと言われるデモ行進に参加しました。
宮下公園を出発点として、渋谷スクランブル交差点〜青山246号線〜原宿メインストリート〜明治通り〜宮下公園と約一時間、日本一若者で賑わうこの場所を拡声器にて、チベットの平和を願いシュプレヒコールを繰り返しました。私たちの叫ぶチベットの現状と、中国政府に対する抗議を道ゆく人たちも立ち止まって耳を傾けてくれていました。
私たちのできることは小さいかもしれません。
しかし今、世界で起きている様々な惨状に耳を傾けることは大きな力に繋がる一本の命綱なのかもしれません。


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西蔵ツアン先生(左)と私




最後に・・・・・


4週に渡って今、私の感じる事を書かせて頂きました。
そのどこにも花との関わり合いがあります。
花の、植物の持つ生命力に私たちは癒しとパワーを頂いています。
たとえ刹那の輝きだとしても、その生命力は生き生きとした美しさを見せつけ、私たちに活力を与えてくれます。また刹那だからこそ一層輝いて見えるのです。


私たちが生きている時間にも限りがあります!
この時間を有意義なものに変えて、これから私たちが子供達に明るい未来を感じられるよう「希望という命のリレー」を紡いでゆきたいと思います。









長渕悦子様のツイッターはこちら。
http://twitter.com/#!/cleopatraetsuko


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