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アーネストコラム酒酒落落 ニシザキ工芸社長・西崎克治さん 第3回 江戸の開拓史を語る鳶の頭(かしら)

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2012年10月15日

いよいよ祭りが近づくと、各町で「御仮屋」や「神酒所」の設営が始まります。三好2丁目の場合は駐車場を借りて建てるため、お祭りのたびに設営・解体を行っています。設営のためやって来たのは、霊岸島の頭(かしら)と呼ばれる成田さんと鳶職たちです。霊岸島(現在は中央区新川)は隅田川をはさんで三好の対岸にあり、成田さん達はわざわざ橋を越えてきます。これには江戸時代からつづく歴史が関わっています。


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御仮屋と神酒所の設営。平日にも関わらず沢山の町の人が来てくれました。お神輿を組み立てるため、麻縄をもった霊岸寺の頭が登場します。


現在の霊巌寺(れいがんじ)は三好2丁目の近く、深川資料館通りに面しています。江戸時代の古地図を見ると、三好周辺は霊巌寺の敷地でした。松平定信の庇護も受けた、江戸有数の大きな寺だったのです。その霊巌寺は、元は霊岸島にありました。葦の原(干潟)を埋立てた霊岸島は、門前町として発展していきます。一方対岸の深川では、深川八郎右衛門による新田開拓事業が進んでいました。そして1627年、富岡八幡宮の社殿が造営されると深川一帯は多くの人で賑わうようになり、材木置場(木場)の移転や運河の開発によって、新しい町人の町へと発展します(当時の町の様子は、霊巌寺となりの「深川江戸資料館」でご覧頂けます)。


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霊巖寺の本堂は現在改装中。連合渡御の日は、元々霊巌寺のあった「霊岸島交差点」でお昼をとりました。不思議な縁を感じます。


やがて1657年、振袖火事として有名な「明暦の大火」により霊巌寺も焼けてしまいます。幕府は霊巌寺を深川に移転させ、寺の造営に関わる大工や職人たちも、そのまわりで暮らすようになりした。このように社寺の造営・移転や大火をきっかけとして江戸の町は隅田川を越え、東へと広がっていったのです。そういった歴史を背負いながら、10代つづく霊岸島の鳶職は三好までやって来ます。その縁を数百年にわたり守り続けている所も、お祭りの素晴らしさと思います。


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お神輿の組み立て。南京結びをした麻縄をお神輿の四方に結びつけ、一気に引っ張って締め付けます。


御仮屋の柱は、あとで分解しやすいよう針金を使って組んでいきます。お祭りの仮設建築に利用される独特の構造です。鳶の頭・成田さんは、お神輿の組み立てでも活躍します。担いだときにお神輿の重い屋根が落ちないよう、麻ナワを使って胴体に締め付けます。また木槌を使い、担ぎ棒をナワで連結する手際のよさも圧巻です。このロープワークは鳶職ならではの技で、素人はしっかり締め付けられません。


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木槌を上手につかって縄をしめ、担ぎ棒を連結します。渡御中にゆるむとみっともないことになります。


一方神酒所では、町の人達が集まり飾り付けを行います。3年に1度というのは微妙な間隔で、前回の記憶がおぼろげになることもあります。それを防ぐためデジカメで祭壇やお神輿などの記録写真を撮り、それをファイルにしています。正しい飾付けを次代に伝えるためにも、映像の記録が大切になると感じています。電気工事や大工仕事などは地元の本職が行い、現役をリタイアした人もお祭りのために腕をふるってくれます。三好2丁目を頼もしく思える一日です。


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町の人ひとりひとりが職能を持ち寄り、ひとつのものを作り上げていく。それこそお祭りの素晴らしさと思います。


こうした作業のまとめ役となるのが、町会で組織された「祭礼委員会」です。委員長をトップとした各係が組織され、それぞれの実務を担います。まるでひとつの会社のように、神酒所の運営から、会計、資材調達、食糧・水の配給、接待など、様々な仕事があります。お祭りの当日、食料・水を配給する係は、お神輿を先回りするため巡行を見られませんし、神酒所に詰める係や、宴会の支度をする係も同様です。町とお祭りを愛するからこそ、裏方の大切さを知り尽くした人達なのです。


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神酒所完成のあと、祭礼委員と睦が正装をして記念撮影。歴代の集合写真は、町の歴史を語っています。




ニシザキ工芸
http://www.nishizaki.co.jp/        




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