いま世界の家具業界は転換期にあります。アメリカやヨーロッパが不況におそわれる一方、アジア市場にその活路を見出しています。変化の激しい世界状況の中で、毎日のように新しいデザインの家具が発表され、もはや家具のデザインは出尽くしていて、さほど違いをつけられないのではないかというのが業界全体の見方です。たとえ画期的なフォルムやアイデアが生み出されても、発表したひと月後には、コピー商品がアジア市場に出回ってしまいます。
さてMinotti本社のあるブリアンツァは、古くから家具産地として栄えてきた街です。イタリアの北部にあり、コモ湖周辺に散在する貴族の館で使われるクラシック家具を作ってきました。有名家具ブランドの多くはここに本社を置いていますが、工場の海外移転も進んでいて、日本と同様に国内生産は難しい状況にあります。
Minotti本社
緑が多いのどかな環境
Minottiの近くにあるComo湖はイタリアで3番目の大きさで、避暑地としても名高い場所です。現在も周囲には別荘や高級ホテルが点在しています。
その中でMinottiは「Made in Italia」をかたくなに守り通そうとする数少ないモダン家具メーカーです。先代から続く職人技を生かした、イタリアの感性を感じさせる家具。それを作り続けるため彼らの選んだ道は、ファッション業界と同じく「モード」を商品化したグローバル戦略だったのです。
Minottiの新作を年ごとに追っていくと、家具単体のフォルムや雰囲気は大きく変わっていないように見えます。しかし何かが圧倒的に違います。ソファ、アームチェア、サイドテーブル、センターテーブルの他、TVボードなどのキャビネット類やラグなどの組み合わせを変え、それに毎年数十種類も開発するオリジナルのファブリックスや皮革をアレンジすることで、様々なモードを作りだしています。同じシリーズのソファでも、選択するファブリックによって、モダンにもクラシックにもトラディショナルにもなる。まるでファッションを着こなすように変化していく家具。それこそミノッティの立てた戦略でした。
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Minottiの家具作りの工程(一部抜粋)
カバー内部の仕上げ
レザーの選定は最新のレーザーマシンにより傷などを識別します
針と糸を通す職人
レザーパイピング仕上げの工程
2012年度のファブリックコレクション
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製品単体は安価にコピーできても、空間の雰囲気、空気感まではコピーできません。建築家であるロドルフォ・ドルドーニをパートナーに選んだのも、空間デザインを商品とするためだったのです。
私は、家具職人をルーツにもつMinottiだからこそ、モードをビジネスに取り込めたのだと考えています。質のいい家具を作り続けるだけではグローバルなマーケットでは生き残れないという課題を正面から受けとめ「Made in Italy」の伝統を守るにはどうすべきかを考えたのです。そしてドルドーニの空間的モードを表現する能力を最大限に引き出すことで、今日の成功は生まれたのだと思います。こうした考えは、私の理想の家具販売像とぴったりでした。
Minotti (ミノッティ)
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