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アーネストコラム酒酒落落 眼科教授 ビッセン宮島弘子さん Vol.1 白内障の最新治療「多焦点レンズ」

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2013年1月21日

人間の五感の中でも、とりわけ「見る」ことは生活の上で非常に重要な感覚だと私は考えています。


私の経験から申し上げて、見えなくなるということは、命に関わる問題の次に、皆さん嫌がられるという印象です。耳が聞こえない、話せないのも困るけれど、見えないと一番何も出来なくなる。だからこそ私は、一人でも多くの方が見えるようになるお手伝いをさせていただければと考えています。白内障手術をされた方が翌日、よく見えるようになって「新しい人生をまた楽しみたい」とやる気が起きたり、老眼鏡が手放せなかった生活から開放され、生活感が変わる。また、「女性はレーシックをするとみなさんきれいになる」と、男性ドクターの間では話題になったりもするようです(笑)。見えるようになると、きれいにしようという気持ちになって笑顔が増えるのではと思います。見えることとは、モチベーションを上げること。眼科医としては、出来ればメガネやコンタクトを着けずに健康な目で見えることこそ、生活をより良くし、気持ちの向上にも繋がる最良の方法だと考えます。


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東京歯科大学水道橋病院眼科では、
外来から各種手術までさまざまな診療に対応しています。


* * *


第一回のテーマは「白内障」です。白内障とは目の中の水晶体が濁る病気です。先天性のケース以外に、加齢とともに発症率が上がるとされています。進行すると、視野がかすんだりぼやけたりし、日常生活に支障をきたします。


白内障の手術は現在は主に片目ずつ、日帰り手術でできるようになっています。水晶体の濁りを取り除き、そこにプラスティック製のレンズを入れる手術で、その実施は1年間で約100万件ともいわれています。白内障治療に使用される眼内レンズで保険対応のものは、1点でピントが合う「単焦点レンズ」というものです。現在でも圧倒的に需要があり、ほとんどのケースこのレンズが採用されています。ただ、白内障は加齢とともに起こる病気です。もともと近視や乱視をお持ちだった方が、老眼も併発しているケースが珍しくありません。「単焦点レンズ」はどこか一点にピントを合わせられるレンズですから、手術の際に、近視を矯正するか、老眼を矯正するか、選ばなくてはいけないという問題が起こります。
遠くにピントを合わせると近くを見るときに眼鏡が必要で、近くにピントを合わせると、車の運転の際に眼鏡が要ります。
手術時間が短く、日帰りで済むため手軽だという認識をお持ちの方が多い白内障手術ですが、目の小さなところから機械を入れ、顕微鏡を使いながら行なう繊細な作業であることに変わりはありません。できるなら、一回の手術でまとめて改善するほうが望ましい、そんな考えから生まれたレンズがあります。
それは、二点にピントを合わせることができる「多焦点レンズ」です。


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レンズ自体は欧米で50年以上の歴史がありますが、日本の医療現場で採用されたのは2008年です。ただ、眼内レンズとしては価格が非常に高く、日本の医療費ではとても出せないのです。そこで私はこの多焦点レンズを「先進医療」として、国の認定を受けられるよう働きかけました。先進医療という言葉は、保険会社のTVCMなどで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際はがん治療の分野などで比較的多く採用されているシステムで、保険診療と実費診療の混合医療が認められていない日本において、特例として検査や投薬は保険がきき、手術のみ実費で行なうことを認める医療制度のことをいいます。これにより、医療費の負担を抑えながら、高度で有益な白内障治療を提供できるようになりました。


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単焦点レンズの見え方


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多焦点レンズの見え方
遠くと近くが見えることで、日常生活が非常に楽になります。


現状では、多焦点レンズの需要は日本では1%に満ちていません。保険のきく単焦点レンズの価格は片眼5万円以内で納まるのに対し、先進医療の多焦点レンズは30〜40万円と金額的な問題もありますが、先進医療を実施できる認定施設が全国で200箇所とまだまだ少ないことも大きいと思います。保険会社の先進医療の項目を見れば、「多焦点レンズ」を見つけることができ、私はその監修にも携わらせていただいていますが、まだまだ認知が足りないというのが正直な感想です。
多焦点レンズは素晴らしいものですが、患者さん一人一人にとって本当に必要なものかを判断することも、医師の重要な役目です。まずはそういうレンズがあるということを知っていただいた上で、その方が興味を示し、その方にとって有益であると思えば、おすすめします。一人一人にとって最善の医療の選択を、医師がお手伝いさせていただく。全ての医療に通じる大切なことです。


東京歯科大学水道橋病院 眼科
日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)




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