“それはあなたと私のよう
遠く離れて時の波間を漂い続けている
見知らぬふたりのように
僕たちは闇夜を渡って行く2隻の船
そして僕たちは笑い合う、これで良いねと”
これは1979年にバリーマニロウが歌った「Ships」という曲の歌詞です。
父と息子の愛を綴った詩ですが、強い愛で結ばれた関係、それは男と女でも、古い友人でも、母と子でも同じです。信じているからこそ、離れていられる。時には分かれて生きることを選択することもあるのです。
ともだちの少なさが自慢の僕ですので、大切にすべきことを心して生きて行こうと思う、ちょっと忙しい日々です。
* * *
「子供の手」
5才の長男がピアノを習い始めて半年が過ぎました。
僕が教えたことは鍵盤を強くしっかりと弾いて良い音を鳴らすこと。それだけです。はじめのうちは大丈夫かなと思うほどたどたどしかったのですが、気がつけば最近は左手で弾く三声の和音が男の子らしくガンガンと響いています。さすが我が息子と酒のつまみに悦に入っている今日この頃です。まあ、弾いているのは「こぐまのマーチ」なんですけれどもね。
何はともあれ、親心としては上手くなくてもいいからせめて10年はレッスンを続けて欲しい。子ども時代に覚えた自転車や水泳の感覚が50年経っても失われないように、楽器のひとつくらいは体幹に覚え込ませて欲しいのです。近い将来のお勉強の成績も気になりますが、まずは始めたピアノが息子の人間力の礎になるまでは続けて欲しいと思っています。
「勉強の季節」
さて、梅雨の季節も終わりに近づき、僕のコラムも最終回ということで清々しい話題をと1週間考えましたが、ここから先は日々の反省文となります。悪しからず……。
コンピューター科学者のマーヴィン・ミンスキーがインタビューの中で、「科学の歴史を振り返ってみると人間の叡智というものは“個人知能”によってもたらされている」と述べています。裏返せば、集団の知能は間違え易い、時には新しい可能性を抑圧してしまうことがあるという、身につまされる話です。
僕はアムスタイルは優れた個の集団でなければならないという志を掲げてやってきたのですが、最近ではミンスキーが言う間違え易い集団になっているのではないか。僕がいくら声高に叫んだところで、忙しさにかまかけて、楽な道を選択する平凡なチームになっているような気がしているのです。
教育下手の社長らしく無責任に言えば、この状況を打開していくには、個々人が勉強するしかありません。ただし学業とは異なり、相手を思いやることも仕事だと認識することが大切です。
僕らが作っている、高級品に類するキッチンや家具は、人間の手数以上には製造することができません。それであれば職人たちが働きやすいように、図面や情報を整理する。締め切りは守る。さらに職人の仕事の限界点はデスクワーク中心の僕らよりも早いことを知り、優秀なサポート役となる。
こんな分かりきっていて簡単なことがなかなかできない。会社らしいルールを作ってみてもうまくいきません。
アムスタイル福岡ラウンジ
そこで行き着いたところ。アムスタイルに「勉強の季節」がやって来たと思うことにしました。振り返ってみれば今までも逆張りこそ我が生きる道と突っ張ってきたのです。世間が忙しい今こそ、勉強を重ねて、もう一度強いアムスタイルを作り直す時期がきたようです。
仕事に役に立つことは「くせにする」。「くせになるまで繰り返す」。
アムスタイルの将来を楽観しつつ、予定よりも早く転換期が来たんだと考えることにしました。
「愛ママ弁当」
とりとめのなさついでに、最後は子供のお弁当のお話。
遠足やら遠出の散歩での子供たちの楽しみはお弁当です。そして帰宅した子供の「全部食べたよー」という言葉がママには何よりのおみやげのようです。こうして写真で眺めてみると色彩感覚もなかなかなもの。こんなお弁当のシーンが子供の記憶に積もり積もって、将来は年老いた親を大切にする大人になって欲しいと願うのですが。まあ注いで愛情が帰ってくるなんて甘い話はないですよね。
このコラムを通して思ったことは、仕事も子供も愛情をいっぱい注いで育てようということです。でも月並みですが、見返りは求めないように心がけなければいけないと思います。
* * *
連載も、いよいよ最後になりました。
コラムへお誘いいただいたアーネストスクエア株式会社の村木社長、内心ヒヤヒヤだったのではないでしょうか。ありがとうございました。締め切りは守るものと言いながら守れない僕を温かく支えていただいた広報の木下様、大変ご面倒をおかけしました。
そして最後までお付き合いいただいた、読者のみなさま、心より御礼を申し上げます。
amstyle(アムスタイル)
amstyle facebookページ
リフォームから、施工までの
アーネストグループ全体サイトはこちら
デザイン・設計の
アーネストアーキテクツサイトはこちら
リノベーション・リフォーム部門
クラフトスピリッツのサイトはこちら
TOPに戻る