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ニシザキ工芸株式会社 西崎克治社長 vol.1 成田山を彫った職人の「表札」

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年4月26日

kisimotohori.jpg
          
これから4回に分けて、私が普段お世話になっ
ている職人や道具のことをご紹介したいと思い
ます。ハイセンスな空間や家具もデザインだけ
では、五感に訴える高感度な物は作れません。
それは職人の優れた手業や道具によって生ま
れるのです。
          
第一回は「江戸木彫刻」の名人、大正14年生
まれの岸本忠雄(号・後藤祐浩)さん
          
岸本さんの工房兼店舗は、ニシザキ工芸から
歩いて5分ほどの深川江戸資料館そばにあり
ます。一歩店に入るとムクの木のいい香りが
漂ってきました。店の奥をのぞくと、畳の作業
場にいる岸本さんが、いつも通り作業台の前
に座っていました。
     
kishimotogaikann.jpg
画像/岸本さんの工房エントランス。
モダンなデザインに木彫が栄えます。

          
kishimototyoukokutou.jpg
画像/岸本さんは名人でありながら本当に
きさくな方です。何本あるか分からないほど
の彫刻刀を駆使して、今も現役で活躍され
ています。

           
実は岸本さんとは祖父の代からのお付き合い
で、座卓を飾る彫刻などをよく彫ってもらってい
ました。戦後工房の再建を私の祖父がお手伝
いして、その分を彫刻の仕事で返したという事
もあったとの話。深川ならではの職人同士の
深いつながりを感じます。
                   
岸本さんは「江戸木彫刻」を継承する貴重な職
人として、勲六等瑞宝章、名誉都民、江東区指
定無形文化財保持者にも選ばれています。しか
しその飾らない人柄からは、権威じみた風情は
かけらも感じられません。国会議事堂や旧最高
裁判所、天皇陛下即位の式台を彩る彫刻をはじ
め、成田山正面に掲げられた大看板「成田山」を
彫ったのも岸本さんです。その一方で小中学校
の課外授業や趣味の木工教室を手伝うなど、幅
広い交流によって「江戸木彫刻」の伝統を伝える
活動も行っています。
          
kisimotosakuhin.jpg
画像/インテリアを彩る建築彫刻から仏像
や彫像レリーフ、篆刻など、様々なタイプ
の彫刻を手掛けています。下絵や書など
も全て自分で描いているそうです。

         
過去の作品集を見せて頂くと、意外にも有名ホテ
ルなど洋風インテリアの仕事が多いことに気付き
ました。江戸木彫刻というと「和」を想像しますが
いわゆる日本の洋館建築を飾ってきた華麗な装
飾を沢山彫っているのです。こうした点も、江戸=
東京で仕事をしてきた職人ならではの特徴だと感
じました。
        
kisimotohyousatu1.jpg
画像/何といっても、この彫りの深さが
岸本さんの腕前を物語っています。

          
岸本さんにはぜひ、自宅の表札を彫ってもらいた
いと思っています。今はステンレス板にシルクス
クリーンプリントですが、そろそろ年相応の表札
が欲しくなってきました。岸本さんは彫刻だけで
なく、南画や書道の腕前も超一級です。その篆
刻(てんこく)は、字体の筋の強弱や余白の凹凸
刃物の痕などに、なんともいえない味わいがあり
ます。なにより誰もが目にする「成田山」を彫った
名人に表札を彫ってもらえるなんて素敵ではない
でしょうか。
             
kisimoto.jpg
画像/一番難しい物は何ですか?と伺うと
「トラや牛のように実物のいるもの」とのこと。
龍や獅子など空想の生き物の方が彫り
やすいそうです。


おそるおそる値段を聞いてみると、表札であれば
私にも都合のつく金額で彫ってくれるとのことです。
岸本さんは芸術家としてではなく、ひとりの職人と
して一途に仕事をしてきた方なのです。生活の中
で活かされるために彫られた作品に、私は芸術品
以上の魅力を感じました。表札だけでなく、玄関先
やリビングに飾ってもよし、ぜひお客様にもお勧め
したいと思います。私の表札の材料はけやき。
背景は緑色ともう決めています。

ニシザキ工芸
http://www.nishizaki.co.jp/ 


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