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TOTO株式会社 コミュニケーション推進部 佐藤 仁美さんvol.4 熱くて魅力的な人々 −情熱の炎を絶やさずに− 

  • アーネストコラム「酒酒落落」
  • 2010年9月16日

日中の気温はなかなか下がりませんが、信州は秋。
コスモスはもう終わり。高くなった秋空に向かって
すすきの穂が陽の光を受けて鈍く輝き始めています。
            
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年齢も、住んでいるところもばらばらな車仲間
の友人たちとランチの待ち合わせをしたのは
農園とワイナリーがある「ヴィラデスト・カフェ」。
軽井沢から浅間山を右手に見ながら、小諸方
面へ車で小一時間ほどドライブすると到着い
たします。テーブルの配置は少々窮屈ですが
窓外に広がる景色を楽しみながらの週末ラン
チだったらきっと気になりません。
             
4-002.jpg
              
この地に農園ができて10年、そこにワイナリー
が開設されて6年だとのこと。やはり、なにごと
かをなしとげるための情熱は、深ければ深い
ほど、熱ければ熱いほど、その実りある結果が
人々に響くことが証明されていることを目の当た
りにしてきました。
          
           
担当した連載の最終回です。
仕事をしているといろいろな出会いがあります。
ひとつひとつ、いずれの出会いも大切なのですが、
才能に甘んじることなく、熱い情熱をもって“こと”と
あたる人と出会ったときにはことさら嬉しくわくわく
します。そんな熱くて魅力的な人をおふたりほど
引用して、コミュニケーションという仕事のひとつの
側面をご紹介しながら、次のかたにブログをお渡し
したいと思います。
           
            
中村洋基さん
            
中村洋基(なかむら・ひろき)さんは電通の売れっ子
クリエイティブ・ディレクター。足利学校で名高い栃木
の足利出身。Webを中心とした広告クリエイティブの
鬼才です。
            
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制作担当いただいているプロジェクトは、TOTOの
コーポレートコミュニケーション(企業広告)
「TOTO TALK web」です。
         
創業者大倉和親(おおくら・かずちか)の「わが国
における厨房・浴室・便所等衛生上の設備は欧米
諸国に劣り、これに要する内地製陶器類もまた不
完全にして、過去において輸入品を防遏(ぼうあ
つ)出来なかったことを深く遺憾とする」という熱き
想いを形にして、1917年にTOTO(当時は東洋陶
器株式会社)は生まれました。
下水道がいまだ整備されていず、衛生陶器のな
にものかも理解されない時代に水洗便器をつくり、
衛生思想の普及と環境衛生の重要性を啓蒙する
ことから始めた業も93年が経ちました。
すでに世の中には、生まれたときから洋式トイレ、
ウォシュレットがあたりまえの世代が成人してお
いでです。この次世代を担う若いかたがたに、
TOTOがどんな会社であるのか、どのような志を
もって日本の水まわりの生活文化水準を現在の
位置に引き上げてきたのか、そしてさらに現代に
おいても粛々とその使命を全うすべく活動を続け
ていることをぜひ知っていただきたいと、現社長
の張本邦雄(はりもと・くにお)は願っているので
すが。
そのミッションを負い、「TOTO TALK web」は、イ
ンターネット世代の若いかたがたにまずは“ふり
むいていただこう”と、第一弾をスタートしました。

tototalk.jpg

TOTO TALK すごいトイレ作っちゃった.jpg


「TOTO TALK」は、webだけでなくTVCMもあります。
TVCMをディレクションいただいたのは広告業界の
トップクリエイター澤本嘉光氏。その澤本氏から、web
チームの候補として名前を告げられたとき、中村さん
はようやく20代に別れを告げたころだったでしょうか。
澤本氏が「若いけどとにかくweb界ではすごい」と太鼓
判を押しながら、「知ったかぶるとひどい目に遭いますよ
・・・」とシニカルに口元を歪めて、謎めいた言葉を残した
のが実に印象的。不安半分、否が応でも期待感が高
まりました。
         
中村洋基さんに初めてお会いしたときの第一印象は
非地球人(いい意味ですし、褒め言葉です)。そこに
いてそこにいないような無機質な表情をもち、口数少
ないかわりに、ときどきその切れ長の目から彼の脳内
のなんらかのシグナルが電波になって発せられるよう
な独特の雰囲気をもつ青年でした。
            
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私はアナログからデジタルに世の中が変わろうとして
いたはざまの世代に属しています。作り込みが必要な
プロジェクトでは、制作チームのメンバーが、どういう感
性をもち、どのような感情発現をし、情熱があるかどう
か、じかに確認できないと安心できないタイプです。 
であるにも関わらず、なかなか中村さんとの対話が対
話になりません。熱いのか?熱くないのか?情熱があ
るのか?ないのか?なにひとつ実態をつかめないまま
透明なシールド越しに相対しているかのようなもどかし
さに焦りと苛立ちを感じながら、プロジェクトはスタート
してしまいました。
          
リアルな人物の実態を見せてもらえないのは、世代格差
によるコミュニケーション方法の違いが原因であれば仕
方ありません。ならばこちらから見にいこうと、中村さん
がネット上に発進している情報をさがしにいくうちに、中村
さんが並々ならない直感力と情熱をもったhotな人である
ことがわかり始めたのは幸いでした。
          
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生来の才能とこれまでの経験に裏付けられた直感力で
「こうだ」と確信した方向性はとことんこだわる。それを実
行するために困難があればひとつひとつつぶしこみ、必
要なことは積み上げていく。その姿勢と“熱さ”はものづ
くりの職人に通ずるところがあり、かつ中村さんが中村さ
んであって、他と一線を画しているのは、駆使する技術
は最先端であっても、必ず人と人とのつながりが感じられ
る人間味が加わる点だと私は思っています。
だからこそ、表現はクリエイティブのプロである中村さん
にお任せし、こちらはそのアイディアが生み出す効果の
確からしさを判断する。あとは凡庸でない表現を実現する
ため、クライアント側としてできる限りのサポートをする、と
いうよい関係性をつくれたのだと思います。
           
TOTO TALK web第一弾は、カンヌの国際広告祭を含む
国内外の広告賞を4つ受賞しただけでなく、公開直後か
ら現在に至るまで、若いかたがたを中心としたTwitterで
700近い好評のつぶやきをつけていただいております。
評価をいただきましたこと、私にとっての今年もっとも嬉し
い出来事のひとつとなりました。
           
           
松嶋啓介さん
           
松嶋啓介(まつしま・けいすけ)さんはすでにご存
じのかたも多いのではないでしょうか。20代でニ
ースに渡ってレストランをオープン。仏ミシュランで
今年で連続5回の一つ星を獲得したフランス料理
の雄です。
生まれは福岡の太宰府。料理人の道に入ろうと思
ったのは小学生のときで、きっかけはお母様にあっ
たそうです。
           
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初志貫徹を成し遂げたばかりでなく、30代前半に
して、「料理人としてはやりたいことのひととおり
はできた」と言い切ることができるほどのありあま
るパワー。今の松嶋さんからは、料理人の枠にお
さまらず、食から文化まで、およそ人が心地よく快
く生活するためのあらゆる領域に関心の網を広げ、
着々と次のアクションのための布石を打っている
様子がうかがわれます。
          
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ほのぼのとした外見とは異なり、松嶋さんの中に
熱い血潮がたぎっていることはその活動領域と
実績を見れば一目瞭然です。
原点のフランス料理店だけでなく、ニースの日本
料理店「saison」、東京のフランス料理店「レストラ
ンI(アイ)
」とビジネスは拡大されました。次はなん
だろう?と問う間もなく、パリ進出のとてもエンター
テインメントな構想を、一見ぶっきらぼうに、でもそ
の実内心では興奮しているに違いない熱心さで語
られてしまうと、松嶋さんの壮大な計画にいつのま
にか巻き込まれて、思わぬ夢の翼を広げてしまう
こともしばしばです。
              
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ご本人は否定するかもしれませんが勉強家。学んで
得たことは、机上で終わらせることはなく、必ず実戦
に応用して有言実行。ねらった的は過たず射抜いて
いくようなそのような印象があります。
             
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自ら「マーケティング力、営業力はNo.1」とおっしゃる
とおりに、自由奔放そうでいて、しっかりとストラテジ
ストだったりするところがまたチャーミングなのですが。
残念なことにご協力いただこうと思った企画はタイミン
グが合わずに実現できなかったのですが、以来、率
直な意見ももらえるようになったことが嬉しい展開です。
           
                
自分の為す業を愛し、強烈な意志をもち、情熱をもって
それを熱く語って周囲を巻き込みながら、真摯に進ん
でいく人々はいつも魅力的に輝いています。
「愛業至誠」。TOTOの社是にもその思いが息づいて
います。
出会った熱くて魅力的な人々に感嘆するばかりでなく
私自身もそのような存在でありたいと願ってやみません。
          
             
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vol.1 海のこと、水のこと、エコロジーのこと
vol.2 GT-Rでドライブ
vol.3 お宿「あさば」− 上質であることの義務と責任
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